パン屋さんがアフリカ雑貨を売っていると不思議な感じがするかもしれませんが、私の中ではどちらも同じものをお届けしているつもりです。

私は幼い頃をタンザニアで過ごし、大人になってからも協力隊としてアフリカで暮らしました。

まだまだ文明が行き届いていないアフリカの暮らしは、私たち現代人が想像もつかないような暮らしです。ライフラインが通っていない地域にはガスなんてありません。食事の準備はまず火をおこすことから！生活に必要な籠や木皿、革製品などは自分たちの周りにいる動植物から手仕事によって生み出します。

お金で何かを買うことに慣れてしまっている現代人にとってみると、それはとても大変で貧しい暮らしに見えるかもしれません。でも彼らにとってはそれが当たり前の生活であり、むしろ私たちよりもとても心豊かに生きているように思います。

生きていくために必要なものを自分たちの手で生み出した時の喜び、ごはんを食べられることのありがたさ、自然の恵みをいただいて生きていること。

労力をかけるからこそ得られる、生きている実感。
身近に自然があるからこそ感じる、今日一日を生きたこと。

そんな彼らにしか生み出せないカラフルな色使いや独特のセンスは、生活を鮮やかに彩るだけでなく、私に土臭い「生きる」エネルギーを与えてくれます。私がパンを焼くときにわざわざ薪を炊いてつくるのも、そんなエネルギーをパンに詰め込んでお届けしたいからです。

パンや雑貨がみなさんの生きるエネルギーになり、多くの人が元気にたくましく笑って暮らせますように。私はこれからもみなさんに力のあるものをお届けしていきたいと思います。

私が取引をしているマラウイ共和国は、依然として世界最貧国にあたる国。インフラ整備、保健衛生、医療、教育、就業率が依然と低く、一日1ドル以下で暮らしています。

自給自足でたくましく生きているとはいえ、干ばつに合うとたちまち主食であるメイズの確保は困難に。お金を持っていないので食べるものがなくなり、栄養失調の子供達が出てきます。

衛生状態が悪いため病気になりやすく、病院に行くお金がなければ死んでしまいます。それは教育についても同様で、制服や教科書代が払えなければ学校にも通えません。

どれだけ自給自足が素晴らしいとはいえ、やはりいざという時のためにお金は必要になってきます。特に社会的弱者（未亡人や孤児など）に関しては深刻な状況です。

こうした事態を回復するため先進国から支援金が集まりますが、結局は自分たちで稼ぐ手段をもたない限り一時の支援で終わってしまうのです。

チテンジ生地を使ってバッグをつくるとお金がもらえること。それがどれだけ彼女たちに安心をもたらすことでしょう。バオバブオイルも、こうした活動の一環で生み出されたものを仕入れさせていただいています。

私がこうして現地の女性グループに制作を依頼することでそれが一つの「お金を稼ぐ」モデルとなり、もっと多くの女性が自らお金を稼ぐことができるような動きになれれば幸いです。